団体概要
全国食支援活動協力会(旧名称:全国老人給食連絡協議会)は、独り暮らし高齢者のための配食活動や会食会を運営する団体による日豪シンポジウム(1985)をきっかけに連絡組織を設立しました。
ロゴマークの由来
ボランティアによる食支援活動の先進地オーストラリアの「ミールズ・オン・ホイールズ南オーストラリア協会」のロゴマークにならい、配食サービス=meals on wheelsから、車輪をモチーフとしたデザインとしました。日本の食支援活動のロゴマークには調和や協力を表す紺色が使われています。
団体名称 | 一般社団法人全国食支援活動協力会 (非営利徹底型の法人です) |
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所在地 | 〒158-0098 東京都世田谷区上用賀6-19-21 |
沿革・定款 | |
事業報告 | 活動報告(R5)/収支報告(R5) |
事業計画 | |
会員 | 正会員:119(団体会員81 個人会員38)・メール会員1,090 |
各種規程等 | 倫理規定(別紙)/ 法令遵守規程/情報公開・開示規程/ 事務局運営規程/ 経理規程/給与規程(別表・給料表) / リスク管理規程/文書管理規程/役員報酬費用弁償等規程/公益通報者保護規程 |
役員名簿
代表理事 | 石田惇子 特定非営利活動法人支え合う会みのり 元理事長 |
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理事 | 剣持英子 甲府・食事サービスをすすめる会 事務代表 |
常務理事 | 清水洋行 千葉大学大学院人文科学研究院 教授 |
理事 | 隅田耕史 特定非営利活動法人フェリスモンテ 事務局長 |
理事 | 清水福子 認定特定非営利活動法人あかねグループ 理事長 |
理事 | 田中将太 琉球大学人文社会学部 専任講師 |
常務理事 | 内藤佳津雄 日本大学文理学部 教授 |
専務理事 | 平野覚治 社会福祉法人ふきのとうの会 理事長 |
監事 | 鶴澤 章 鶴澤章税理士事務所(任期令和3~6年) |
監事 | 中島智人 産業能率大学経営学部 教授(任期令和3~6年) |
アクセス
〒158-0098
東京都世田谷区上用賀6-19-21
一般社団法人全国食支援活動協力会
TEL:03-5426-2547(平日10~17時)
FAX:03-5426-2548
Email:infomow@mow.jp
私たちのネットワーク
食支援活動は、地域に「栄養」「食育」「交流」「役割づくり」など多様な価値を提供します。 生きることは食べること。そして生きていくためには人とのつながりが欠かせません。
孤独や貧困、分断が起因するさまざまな社会問題に対し、食を通じたコミュニティを生み出すことが解決策のひとつになる、と私たちは考えています。
私たちがつながる全国の活動現場は約2,700団体。沢山の仲間が地域の最前線で活躍しています。地域の誰かのことを想い、食でつながり合う活動は、新しい困りごとを発見したり、必要な新しいサービスを生み出しています。
全国食支援活動協力会は、そんな食支援に取り組む多くの活動団体の経験をもとに、新たな団体の立ち上げや継続のための支援をすることで、日本全国に食を通じたコミュニティを広げてきました。
また、各地の地域課題の解決のためには、活動団体だけでなく、省庁、自治体、議会、企業、さまざまな中間支援団体など多様な機関との連携を通じて関係づくりを進めています。
参加委員会など
「新地域支援構想会議」構成団体(2013~) /「生活支援サービスコーディネーター指導者養成事業」委員(2015)/「広がれ、こども食堂の輪!」全国ツアー実行委員会(2016~2018)/農林水産省「介護食品のあり方に関する検討会議}(2015)/農林水産省「新しい介護食品普及推進会議」(2016)/厚生労働省「地域高齢者等の健康支援を 推進する配食事業の栄養管理の在り方検討会」(2016)/厚生労働省「配食にかかる事業者向け導入支援ツール及び配食利用者向け活用支援ツール作成等に関する有識者会議」(2017)/「広がれ、こども食堂の輪!」推進会議構成員・事務局(2017~)/全国社会福祉協議会 「広がれボランティアの輪」連絡会議 構成団体(2019~)/新宿区協働支援会議委員(平野・2019~)/孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム会員(2022~)
海外とのネットワーク
南オーストラリアの老人給食サービス団体「ミールズ・オン・ホイールズ南オーストラリア協会」(MoW SA)と連携しています。ミールズ・オン・ホイールズ(Meals on Wheels)とは、自分で食事を用意できない人のために食事を届けるプログラムのことです。1940年代にイギリスで始まったとされています。オーストラリアはミールズ・オン・ホイールズの先進地で、南オーストラリア州のMoW SAでは83か所のブランチから食に困っている在宅の高齢者に向けて、一日4,000食が提供されています。この活動を支えるのは約6,500人のボランティアです。(2021年のデータより)
MoW SAと全国食支援活動協力会
きっかけは1983年、MoW SAのボランティアが訪日中に「老人給食協力会ふきのとう」の高齢者会食会を見学したこと。その後1985年に「ふきのとう」がMoW SAのボードメンバーを招いて開催したシンポジウムで活動団体の全国規模の連絡会組織の必要性が投げかけられたことが翌年の全国老人給食連絡協議会(全国食支援活動協力会の前身)発足につながりました。大規模な配食サービスがボランティアによって組織的に実施されているMoWSAの活動から、運営ノウハウや公共サービスとしての考え方など多くを学んできました。
友好協定
視察やシンポジウムの開催などを経て、互いの組織の相互発展を目的とした友好協定を、南オーストラリア州厚生大臣を立会人として2001年9月に締結しました。異なる文化を背景としつつ、地域の食支援という共通の目標と国際協力精神に立ち、継続的な連携関係を結ぶとしています。
これまでのおもな交流
2002年 厚労省老健事業「高齢者の相互扶助を促す、南豪MoWシステム導入に関する調査研究」実施
2004年 MoWSA50周年式典でのスピーチ
2015年 全豪MoW大会の出席とMoWSA視察ツアーの実施
2017年 MoWSA来日、東京世田谷区「ふきのとう」活動視察
2021年 コロナ禍の状況についてオンライン会議
2023年 MoWSA視察訪問、MoWSA役員・全豪MoW役員との合同会議
代表メッセージ
1980年代はみんなで一緒に食事を楽しむ会食会や、食事作りに困っている高齢者宅を訪問してお届けする配食サービスが次々と立ち上がりました。「地域で安心して暮らし続けるには食事が一番大切」と気づいた者たちが、お互い様のボランティアの気持ちで始めた活動です。私は1995年に稲城の「支え合う会みのり」の代表になってから全国老人給食協力会のセミナーに熱心に参加するようになりました。特に介護保険制度 の導入と3年ごとの改定毎に食事サービスの位置づけの変化については不安と期待で特に緊張して聴いたことが思い出されます。 毎年夏に東京で行うセミナーでは住民参加の食事サービスが抱える様々な問題、例えば「活動場所の確保」「食品衛生」「介護予防のための食」「担い手の確保」「行政との関わり方」などがテーマに取り上げられていました。また、地方の活動団体が実行委員会形式でセミナーを開催し、北海道から九州まで多くの仲間と知り合い、情報交換ができました。
設立者の平野さんの逝去により2006年に当会の代表となって以降、担い手の高齢化と担い手不足が顕著になり、高齢者対象の配食サービスの新規団体設立の減少が問題となってきました。一方で少子高齢化の進展とともに、高齢者と子どもが入れ替わるように、学校給食で栄養を保つような子どもたちの食の状況の悪化が報道で取り上げられるようになりました。そうした状況に呼応するように「子ども食堂」「中高生の居場所」子どもから高齢者までが利用できる「地域食堂」が各地で取り組まれるようになりました。
全国食支援活動協力会は2016年からの「広がれ!こども食堂の輪」全国ツアー事務局を担い、現在は子ども食堂への支援を多くの企業との連携により実施しています。
食を通して地域コミュニティづくりを目指す活動の対象は高齢者から子ども、多世代にに広がり、活動も多様化しています。食支援に取り組む各地の活動団体がいま必要としているサポートを通じ、あらゆる世代の豊かな食環境の整備をめざします。
全国食支援活動協力会 代表理事
石田 惇子
私たちのこれまでのあゆみとこれから目指すこと
一般社団法人全国食支援活動協力会は、1985年から老人給食協力会ふきのとうの活動からはじまり、高齢者等のための食生活支援活動を支える目的の団体として1995年に「全国老人給食協力会」となりました。当時から高齢者の低栄養やそのおそれのある人は多く、それが病気や要介護の早期化の原因になっており、社会課題となっていました。
「できるだけ長く、住み慣れた地域で、安心感をもって自分らしく暮らし続けられるしくみをつくるために」をモットーにして、高齢者の低栄養の課題を改善するために”会食サービス”や”配食サービス”を全国に仲間を増やしながら活動をしてきました。
2013年地域高齢者の栄養状況の調査、72.7%が低栄養もしくはおそれのある結果となった
こうした長年の活動の中で、高齢者向けの会食サービス、配食サービス共に多様な形態が生まれてきました。会食サービスであれば、常設型、子育て・高齢者施設併設型などの拡がりがあり、配食サービスでは食事を利用者の自宅まで配送し、訪問を通じた安否確認や困りごとの確認をするなど、現在の多くのこども食堂や、貧困対策のアウトリーチ事業の手法の原点は、この高齢者向けの会食・配食サービスによって形作られました。
高齢者向けの会食・配食サービスの定着や、国や自治体の各種施策、市民活動等の成果により高齢者の栄養状況は改善してきましたが、それと相対するように、子どもとその親世代の低栄養状態が社会課題となってきました。
また、7人に1人といわれている子どもの貧困率の上昇、平均所得金額の減少、ひとり親家庭の貧困率の高さなど、親世代の貧困状態も高まっており、社会問題として顕在化されてきました。
こうした子どもとその親世代の低栄養状態や貧困状態の社会課題の解決をするために、2017年に一般社団法人全国食支援活動協力会と改称し、地域の子どもから高齢者をつなぐ食を通じたコミュニティとして「こども食堂」を拡げる活動をはじめました。
こども食堂は東京都大田区の「気まぐれ八百屋だんだん こども食堂」が発祥とされています。「こどもが1人でも安心して来られる無料または低額の食堂」と言われていますが、私たちはそこに「(困難を抱える家庭の)子どものための食堂だけでなく、たとえば高齢者の食事会に子どもが参加している場合などの「地域食堂・多世代食堂」も居場所の多様性として広く対象をとらえています。
こども食堂は地域住民がボランティアで行う市民活動によって支えられているため、それを安心・安全に運営してもらい拡げていってもらうためには、衛生面や団体運営の知識提供、各地の成功事例の共有、活動団体同士のネットワーク、運営資金の補助といった多方面の支援が必要となります。
全国食支援活動協力会では、2016年9月「広がれ、こども食堂の輪!全国ツアー」キックオフを皮切りにこども食堂の啓発の全国行脚を行う実行委員会の事務局をつとめたり、「広がれ、こども食堂の輪! 活動ガイドブック3部作」「こども食堂あんしん手帖」といったこども食堂の立ち上げや運営に関わるノウハウや事例をまとめたガイドブックの発行、全国各地で「食でつながるフェスタ」を各地で開催しネットワークを拡げることをしてきました。
こども食堂サポートセンターの活動概要
食フェスタの活動概要
活動の詳細に関心がある方は、「広がれ、こども食堂の輪!こども食堂サポートセンター」のホームページをご覧ください。
新型コロナウイルス流行により、対面でのこども食堂の活動は大きな影響がありました。全国食支援活動協力会では、2020年4月28日~5月22日の期間にこども食堂の活動等を行っている287の団体にアンケート・ヒヤリングを行いました。
結果から見えてきたのは、子ども支援団体および多世代支援団体の7割以上がこれまでの活動を休止し、別の活動を開始したということです。 別の活動の内容としては、個別の世帯への食料やお弁当の配布、フードパントリーの実施等が挙げられています。 また活動を継続する団体にとって感染リスクへの不安の他、不足する衛生用品や資金の調達が課題となっていますが、新型コロナウイルス対応のための活動資金があれば、8割近い団体が「活用したい」と回答しており、活動資金のニーズが高い傾向が見られました。
長引くコロナウィルスの影響で、収入の減少や失業といった過酷な状況が拡がっていく中で、食品の配布やフードパントリーに活動を切り替えたり、アルバイトを減らされて収入に困った大学生向けの食糧提供を新たに開始するなど、柔軟に活動をしている各団体の実態と困りごとを把握した上で、それに沿った支援策を企画・実施してきました。
企業からの寄付を財源とした助成プログラムの実施や、食品や衛生用品等のマッチングはその一例です。
全国食支援活動協力会では、企業むけのSDGs交流セミナーの開催や、学習会の開催により、全国区の大企業から各地の中堅、中小企業まで幅広く情報交換や対話を重ねてきました。そこでわかったことは、各地域内では企業とこども食堂との食材や役務等の寄付の事例は多くありますが、全国を対象とした大企業は、扱う量が大量であることや各種クリアしなければいけない制約があることから、寄付をしたくてもできない実態でした。
学習会の様子
新型コロナウィルスの流行で、各地の窮状がわかってくるなかで2020年度も多くの食品寄付のお問い合わせがありました。それらについて、これまでの活動でつながってきたネットワークを活かして、各地のこども食堂を通じてこどもたちに届けることができたケースと、残念ながら様々な制約により寄付が実現しなかったケースがありました。こうしたことから、これまで各地域で個別最適されていた寄付食品の物流ネットワークに加えて、日本全国に大量の食品を分配する仕組みの構築することができれば、厳しい状況下で生活をされているご家庭や子ども達に食品をもっと届けることができるようになります。
10年以上取引の無かった金融機関に預けられているお金を社会問題解決のために活用する休眠預金の仕組みが2019年から動き始めています。全国食支援活動協力会では、こうした公共性の高い資金を活用して、大きく3つの施策で日本全国に大量の食品を分配する仕組みの構築を進めています。
1.こども食堂のサポート機能強化(2020年4月~2023年3月)
こども食堂サポートセンターが所在する地域にてこども食堂等居場所への支援を展開することで、活動団体の運営を支え、当該地域における子どもの健やかな成長等に貢献することを目指す施策です。これにより、こども食堂の立ち上げ支援や、運営のサポートや地域資源との連携強化などを行うことでソフト面を支えていきます。
2.共同冷蔵(冷凍)庫等の設置、運搬車両の購入、食品保管庫等のハード面の整備(2020年8月~2022年3月)
子どもの成長に欠かせない肉や魚などのタンパク源を含めた生鮮食品の保管には、冷蔵庫等の設備と保管庫の場所、そして運ぶための車両が欠かせません。こうした資金が必要な設備を地域で共同して保有・利用することを推進する事業です。
3.物流・ストック・最適な分配を可能とするロジシステムの構築(2021年4月~2024年3月)
大量の食品を全国に分配するには、広範囲なロジスティクスが必要です。ロジスティクスとは、物を保管して運ぶだけではなく、物の流れを寄付する企業と各地のこども食堂のニーズに合わせて効率的な形で計画・実行・ 管理することです。
これを実現するためにこれまでこども食堂のサポート機能強化によって拡げてきたロジ拠点・ハブ拠点・地域の子ども支援団体のネットワークと、各拠点をハード的に強化したストックとシェアの仕組みを融合したロジシステムの構築を目指しています。
詳細は「休眠預金事業とは」「休眠預金事業の詳細情報」をご覧ください。
こどもの貧困問題、それに関連する低栄養問題、これらは該当家庭に食品やお金を渡せば解決する単純な問題ではありません。継続的な関わりを通じて日常を変えていく必要があり、子ども・保護者・学校・企業・自治体・地域・近隣住民と様々な関係者がつながって活動することで始めて解決に向かって進んでいくものです。
全国食支援活動協力会は、1985年から今まで活動を重ねてくることで、「食」がつなぐ地域の居場所づくりの環境整備を全国の仲間を増やしながら行ってまいりました。ここに企業という新しい仲間が増え、新しい動きがおきつつあります。SDGs(持続可能な開発目標)として企業も社会の一員として社会問題解決をリードしていく時代となりました。「廃棄にしない」食品の利活用、子どもの「食育」「健康状態の改善」、持続可能な子どもの「居場所」を、この領域で社会貢献活動を検討されている企業様は、是非私たちにお声かけください。一緒に活動することでさらに社会的インパクトを高め、より多くの子ども達に未来を届けることにつながります。
受賞歴
2018年 | 杉浦地域医療振興賞(専務理事平野覚治に対して) |
2020年 | 厚生労働大臣賞(ボランティア功労者に対する表彰) |