日豪40周年記念事業

日豪の活動の相互理解を深めるための勉強会の実施

第1回勉強会 2024年5月7日(火)13:00~  テーマ「利用者・活動団体へのアンケート調査でわかったこと」

 
MoW SAと全国食支援活動協力会が実施したアンケート調査の結果を紹介しあい、利用者、ボランティア、社会に対する価値について話し合いました

 
(MoW SAの発表から)
 MoW SAは、健康的な食事の提供を通じて社会との接触の機会を利用者に提供し、単なる食の提供を超えたサービスを提供しているボランティア団体で、オーストラリアのサウスオーストラリア州で活動しています。
MoWのボランティア792名と利用者744名を対象に健康状態とサービスに関するアンケートで、以下のようなことがわかりました。
 
利用者の回答から
・MOWの利用者の70%近くが、社会との有意義な繋がりが1日1回以下。
・MOWのボランティアと良い関係を築いている利用者ほど、心身の健康状態が良好で、地域社会への帰属意識や周囲との良好な人間関係を感じています。
・訪問時間が1回につき2分未満の場合よりも、2分以上の場合の方が、地域の行政サービスに関する知識や、地域社会への連帯感や帰属意識を感じる割合が10%近く高いです。このことは、訪問の回数よりも、訪問時間の長さの方が、利用者に有益な結果をもたらすことを示します。
 
ボランティアからは、
・MoWのボランティアは、他のオーストラリア人と比較すると、心身の健康状態が10%近く良い。
・ボランティア活動を通じて地域との繋がりを感じ、孤独感が和らぎ、自己肯定や承認欲求が満たされて、家族や友人との強い連帯を感じている
などの回答が得られました。
 
 たとえ1回に数分間であっても訪問によるボランティア活動は非常に有意義であり、MoWの活動は、ボランティアと利用者双方に心身の良好な健康状態をもたらすことが分かりました。このことは、MoWが、利用者が社会との繋がりを感じられるような活動を今後強化していく良い機会になり得ます。したがって、MoWが提供するサービスが有益な活動であることを、資金提供者や政策担当者に示す有力なエビデンスです。またボランティアの募集の強化にも役立つと考えられます。
 

第2回勉強会 2024年6月14日(金)13:00~  テーマ「高齢者食事サービスの制度について」

 
日本側はゲストの厚労省老健局岸様から国の制度について、MoWSAはオーストラリアの配食サービスの公的補助についてレポートののち、意見交換を行いました。

 
(MoW SAの発表から)
オーストラリアの在宅高齢・障害者ケアサービスに関する政策と補助金は以下のように整理できます。

(オーストラリア政府)
 ・全ての在宅ケアサービス
 ・障碍者保険制度の枠組み
 ・初期の地域健康
(南オーストラリア州政府)
 ・病院
 ・食の保障
 ・児童向けサービス
(市町村)
 ・健康な高齢化地域
 ・資金提供

オーストラリアにおける高齢者ケアの状況
 オーストラリアではここ5年間で、施設ケアを提供する業者が減少する一方で、在宅ケアサービスを提供する業者が増加しています。2023年度は、2022年度比で施設ケア業者の数は5.2%減少していますが、在宅ケア業者の数は1.8%増加しました。
 政府による高齢者ケアへの資金・補助金の金額も、ここ7年間で2倍以上に増加しており、業者による資金獲得競争も激化しています。政府の課題は、高齢者が増加していく中でいかに必要な資金を確保していくかというものがあります。
 オーストラリアでは、85歳以上の高齢者の数が今後10年間で3倍以上に増加すると予測されています。
 高齢者の負担率は、受けるサービスの質と内容によって変わり、施設サービスの利用者のコスト負担は高く、在宅ケアの利用者の負担は、全体のコスト総額の10%以下となっています。
 新たにMoWの食事配達サービスの提供を受ける場合、利用者は食材費を負担しなければならず、本土は$6/回を負担しました。
高齢者が政府の補助金によるサービスを受けるためには、政府による審査を受審しなければならず、ホームサポートは自立を可能にするよう簡単なレベルのサービスを提供しており、食事、社会参加、ガーデニング、掃除、移送、簡単なケアなどになります。
ホームケアパッケージでは、高齢者は1つの団体にケア全体のマネジメントを委託し、それはその人が自立生活が可能になるためであります。


 

第3回勉強会 2024年7月22日(月)14:30~  テーマ「配食サービスのキッチン現場や食事について

 
日本側は全国食支援活動協力会の伊藤様からふきのとうについて、MoWSAはオーストラリアの配食サービスのキッチンや食事について発表ののち、質疑応答及び意見交換を行いました

 
(MoW SAの発表から)
オーストラリアの配食サービスの食事はキッチンにてボランティアによって作られています。
 

オーストラリアにおける食支援
 オーストラリアではMeals on Wheel SA は、月曜から金曜まで毎日約 4,500 食の食事を配達します。
ほとんどの食事は温かい状態で配達され、すぐに食べられます。食事は 3 つの異なる方法で調達されます。首都圏や地方の大都市にあるフレッシュ クック キッチンでは、毎日新鮮な食事を調理しています。
ボランティアは、食品の安全性と品質を監督するスタッフによってサポートされます。シェフとスタッフのチームがいる中央クックチル施設では、1 日約 2,000 食の食事を調理しています。すべての冷凍食と特別な医療食もクックチル施設で調理されます。小さな田舎町では、食事は地元の病院から購入され、ボランティアが病院に行って食事を集め、配達します。
食事は、食品を安全な温度管理内に保つために特別に設計された容器で輸送されます。 食事は支店を出てから 2 時間以内に配達する必要があります。ボランティアは人々の家に食事を届け、滞在中に人々の安全と健康を確認し、社会的接触を提供します。
調査によると、ボランティアと顧客がお互いのことをよく知っている場合、両者の幸福感が全体的に向上することがわかっています。2 ~ 5 分が理想的な時間のようです。ボランティアがお客様のことを心配している場合は、適切なフォローアップが行われるようにします。
緊急時には救急車を呼ぶこともあります。 また、家族や友人に電話して本人の安否を確認することもあります。人が見つからない場合は、警察に通報して生活保護調査を行うこともあります。
MoWは、良好な栄養、社会的つながりを提供することで人全体に栄養を与え、家庭での安全と幸福をサポートすることで自信を育みます。
 

 

資料:

第一回勉強会:

①日本発表資料
日本_利用者・活動団体へのアンケート調査でわかったこと(日本語).pdf
日本_利用者・活動団体へのアンケート調査でわかったこと(英語).pdf
②オーストラリア発表資料:
オーストラリア_利用者・活動団体へのアンケート調査でわかったこと(英語).pdf
オーストラリア_利用者・活動団体へのアンケート調査でわかったこと(英語).pdf
 

第二回勉強会:

①日本発表資料:厚生労働省老健局日本の介護予防政策
 
②オーストラリア発表資料:オーストラリア政府による高齢者の介護予防・食支援政策
オーストラリア政府による高齢者の介護予防・食支援政策(英語).pdf
 

第三回勉強会:

①日本発表資料
・配食サービスのボランティアについての動画:

・ふきのとうについてのPPT:
ふきのとう.pdf
②オーストラリア発表資料
・配食サービスのキッチンについての動画:

・配食サービスについてのPPT:
MoWSA配食サービスについて(日英).pdf